INTERVIEW

「T-ICU」がBeyond Next Venturesなどから総額1.38億円の資金調達を実施! 今後の成長戦略とは?

遠隔集中治療サービスを提供する「T-ICU」独占インタビュー!

遠隔集中治療サービスを提供する「T-ICU」独占インタビュー! アイキャッチ

2019年7月31日、専門医による遠隔集中治療支援サービスを提供する株式会社T-ICUが、Beyond Next Ventures株式会社を筆頭として、栖峰投資ワークス株式会社みなとキャピタル株式会社フューチャーベンチャーキャピタル株式会社などが運用するファンドおよび個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額1.38億円の資金調達を実施したことを発表しました(記者発表資料はこちら)。

T-ICUは、成長中の関西発医療テックベンチャー企業。米国シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル「500 Startups」と神戸市が連携して実施するスタートアップ育成プログラム「500 Startups Kobe Accelerator」の第3期(2018年10月~12月)の参加企業で、本年5月に神戸医療産業都市に進出しました。

劇的に事業を拡大し続けるT-ICU 代表取締役社長 中西智之氏とCOOの小倉大氏に「遠隔集中治療支援サービス事業への想い」や「資金調達の目的」「今後の成長戦略と課題」についてお話を伺いました。

ーー そもそもなぜ「遠隔集中治療支援サービス」という事業を始めようと思ったのでしょうか?

「集中治療とは」
生命の危機にある重症患者を24時間体制で観察し集中的に治療すること。
先進技術が備わった集中治療専用の治療室のことを集中治療室(ICU)という。
また、集中治療専門医は、救急治療後等の重篤患者に対して、1時間ほどで適切な治療方針を決定し、その領域の専門医へ方針を説明し、治療の全体を管理する役割を担っている。
現在ICU登録病院は全国で1,100。集中治療専門医は1,700人とされている。
日本集中治療医学会より参照

中西智之氏(以下、中西氏):私は6年ほど心臓外科医として働いた後、ICU専門医として務め、今は非常勤医師として働きながら、遠隔重症患者管理相談サービスの普及を進めています。

大小様々な規模の病院で勤務しましたが、小規模の病院にはICU専門医がいなかったり、ICU専門医以外の医師が集中治療を兼任したりという現状を目の当たりにしてきました。加えて、ICU専門医ではない先生の治療を見ていると、やはりICU専門医と治療に差があることもわかりました。

これがICUに対して課題感を持ったきっかけです。

また、ICU専門医がいない病院へ勤務している知人達に「何でも相談して良いよ」と声をかけたところ、ほとんどの知人から相談があったことから、全国ではもっと多くの需要があるのではと感じていました。

そんな時に、仲の良いICU専門医から紹介されたアメリカでの「遠隔ICU」が、まさに自分が考えていた仕組みだと感じ、かつまだ日本で普及していないという事実が、「遠隔ICU」事業を始めようと思ったきっかけです。

 

代表取締役社長/医師 中西智之 氏

ーー 日本における遠隔ICUの普及率はどれくらいなのでしょうか?

中西氏:アメリカで遠隔ICU普及率は20%とされています。一方日本では、普及率はほとんど0に近く、まだまだ導入が始まったばかりです。弊社遠隔重症患者管理相談サービスの他に、昭和大学のシステムが2ヶ所導入されているだけです。

そもそも、日本においてICUとして届けられている病院の数が1,100、集中治療専門医1,700人です。大きな病院には5人~10人ほどの専門医が配属されると仮定すると、300の病院には専門医がいますが、残りの800病院は1人いるかいないか。そういう意味で、遠隔ICUはこれからスケールする伸びしろがかなりあると言えます

またアメリカでは、遠隔ICUシステムを導入することで、死亡率が26%下がるというデータが出ています。日本でもこれから導入されていく流れにあることは間違いないと思います。

ーー 「遠隔重症患者管理相談サービス」とは、どのようなものなのでしょうか?

中西氏:当社のシステムは現場と遠隔が双方向で重篤患者の情報を共有するためのもので、「電子カルテ情報」と「心電図モニター」、「レントゲン」等をリモートで確認できます

基本的には、上記の情報を遠隔で待機しているICU専門医が見ながら、現場にいる看護師や医師に触診や状態確認をしてもらい、治療方針を決めていくという流れになります。

「T-ICU」では、この遠隔ICUを行うためのシステムとその先の集中治療専門医を病院に提供しています。契約していただいた病院では、集中治療が必要なタイミングで「T-ICU」を介して24時間待機している集中治療専門医とつながり、アドバイスをもらうことができます。

また、現状アメリカなどで活用されている遠隔ICUシステムは、導入しようと思うと1〜3億円ほどかかってしまうので、日本の中規模の病院が導入することはかなり難しい。

その点で、「T-ICU」はコストを抑えた導入が可能です(導入は5,000〜10,000円/ベッド日)。

ーー 前回の資金調達に引き続き、Beyond Next Ventures社を筆頭とした追加投資ですが、今回の資金調達の目的は何でしょうか?

小倉大氏(以下、小倉氏):ありがたいことに当社サービスは学会等でも注目度が高く、引き合いも増えてきていますが、まだまだ業界内では遠隔ICUどころか、集中治療自体の認識が不足していると感じています。

集中治療室がない病院だと、集中治療専門医の存在を知らない先生もいるほどです。

その中で、我々が全国各地へ足を運び認知活動をしていくことは欠かせません。そのための活動費とよりコストを抑えて提供するためのシステム開発費に利用していきます。

取締役COO 小倉大 氏

中西氏:Beyond Next Venturesさんは最初から投資家として入っていただいていますし、理念に共感していただいている点、そして医療系ベンチャーへの投資経験からの信頼などがあって、引き続きお願いしました。

資金面以外にも、人をご紹介いただいたり、病院への営業の仕方で悩んでいた時に元医療系スタッフの方を繋いでもらったりなど、様々なサポートをしていただいています。

ーー 今後の成長戦略をお聞かせください

中西氏:ベッド数は違いますが、アメリカは遠隔ICUを20年かけて20%まで普及率を上昇させました。

我々としては、今後3~5年で日本の遠隔ICUを20%の普及に努めていきたいです。医療全体の流れとしても決して非現実的ではないと思います。

ただし普及の流れを作るためには、遠隔ICU支援システム導入時の救命率など、データによる実証が必要ですので、まずはデータを蓄積し揃えていくことが目下の目標です。

同社システムを活用した遠隔ICUのデモンストレーションの様子

また長期的には、遠隔ICUに診療報酬が現在ないという課題がありますので、その点もデータによる実証で変えられたらと考えています。

そのような形でデータを蓄積し「遠隔ICU」を確立した上で、遠隔ICUの知見を、「在宅医療」や「災害医療」等への展開も構想しています。また、日本国内だけにとどまらず、アジア地域への進出の準備も進めています。

今回の資金をエンジンにさらなる成長ができればと思っています。

ーー 最後に、神戸医療産業都市を掲げている神戸市に今後期待したいことなどがあればお聞かせください

中西氏:神戸市には十分手厚いサポートを受けておりまして、ありがたいなと思っていますし、制度が非常に充実していると感じています。
ポートアイランドに新たなオフィスを開設し、神戸医療産業都市のネットワークに入る際にも、「スタートアップ補助」という制度があって、とてもよかったです。

小倉氏:「神戸医療産業都市への参画」や「スタートアップ補助制度を利用したオフィス移転」など神戸市役所からプレスリリースを発信していただいたり、神戸医療産業都市推進機構の専門家による事業化支援のアドバイスを受けることができるのも、嬉しく思っています。

スタートアップにとって、神戸市には非常に整った環境がありますし、多くのスタートアップがいる東京と違い、神戸のスタートアップは埋もれずに活躍することが可能だと考えています。神戸がさらに盛り上がっていくために、ぜひ我々のように神戸へ進出する企業が増えてほしいですね

<株式会社T-ICU>
所在地:本社:兵庫県芦屋市大桝町3-13、神戸オフィス:神戸市中央区港島中町2-1-12 北埠頭ビル3F
設立:2016年10月
URL:https://t-icu.co.jp/jpn/
概要:2016年10月13日に集中治療専門医である中西智之が起業した遠隔集中治療支援サービスを病院向けに提供する会社。
2019年5月にはポートアイランドにオフィスを構え、神戸医療産業都市の一員となる。

◎ 神戸市の補助制度(2019年7月現在)

神戸に進出する企業に対して、賃料の最大1/2を補助する補助制度※を実施しています。
※県1/4、市1/4(3年間)
さらに、平成31年度からは、雇用加算を新設しました。



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